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教員人事に関して国立大学法人を調査
−ほとんどの国立大学法人は教授会の権限事項−
   
 大学の自主性・自律性の向上を理由に、公立大学における法人化は61大学(2012年度現在)に及んでいます。
  しかし、多くの公立大学は法人化したものの、法人化以降、大学当局が学内合意の形成の努力を払わず物事がトップダウンで下りてくるため、「教授会の形骸化」が指摘され続けています。とりわけ教員人事に関する選考・審議・決定権が教授会から学長・理事長のもとに置かれた全学人事委員会に奪われる事態が続出しています。
  学長・理事長のガバナンス力強化を名目に、憲法23条(学問の自由)と学校教育法93条(教授会の権限)に反することが実施され、「学問の自由と大学自治」が侵される憂うべき事態といえます。
  公大連は、国立大学法人における教員人事(採用及び選考)の権限がどの組織に付されているかを調査しました。

○「86国立大学法人における教員人事の権限に関する規程の調査」【会員向け】

  調査結果では、国立大学法人の教員人事については「教授会の議に基づき学長が行う」としているのが50大学(58.1%)となっています。また、「教授会・評議会以外の組織」で取り扱っている大学はありませんでした。
  なお、学問の自由と大学自治は憲法等法律で保障されています。

   

学問の自由と大学自治
−憲法等法律で保障されている−

憲法23条 −学問の自由−
学問の自由はこれを保障する

教育基本法7条 −大学−
大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
A 大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。

教育基本法9条 −教員−
法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
A 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

学校教育法93条 −教授会−
大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。
A 教授会の組織には、准教授その他の職員を加えることができる。

教育公務員特例法 3条 −採用及び昇任の方法−
学長及び部局長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとする。
A 学長の採用のための選考は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、教育行政に関し識見を有する者について、評議会(評議会を置かない大学にあつては、教授会。以下同じ。)の議に基づき学長の定める基準により、評議会が行う。
B 学部長の採用のための選考は、当該学部の教授会の議に基づき、学長が行う。
C 学部長以外の部局長の採用のための選考は、評議会の議に基づき学長の定める基準により、学長が行う。
D 教員の採用及び昇任のための選考は、評議会の議に基づき学長の定める基準により、教授会の議に基づき学長が行う。
E 前項の選考について教授会が審議する場合において、その教授会が置かれる組織の長は、当該大学の教員人事の方針を踏まえ、その選考に関し、教授会に対して意見を述べることができる。

教育公務員特例法 4条 −転任−
学長、教員及び部局長は、学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつては学長の審査の結果によるのでなければ、その意に反して転任されることはない。
A 評議会及び学長は、前項の審査を行うに当たつては、その者に対し、審査の事由を記載した説明書を交付しなければならない。
B 評議会及び学長は、審査を受ける者が前項の説明書を受領した後十四日以内に請求した場合には、その者に対し、口頭又は書面で陳述する機会を与えなければならない。
C 評議会及び学長は、第一項の審査を行う場合において必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、又はその意見を徴することができる。
D 前三項に規定するもののほか、第一項の審査に関し必要な事項は、学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつては学長が定める。

教育公務員特例法 5条 −降任及び免職−
学長、教員及び部局長は、学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつては学長の審査の結果によるのでなければ、その意に反して免職されることはない。教員の降任についても、また同様とする。
A 前条第二項から第五項までの規定は、前項の審査の場合に準用する。

八代学院大学 大学教員の罷免手続に関する教授会権限・労判343
  学校教育法は私立大学についても適用されるところ,同法93条1項は『大学には,重要な事項を審議するため,教授会を置かなければならない』と規定し,教授会を大学の必置機関としてこれに『重要な事項』についての審議権を認めている。これは,憲法23条の学問の自由,特に学術の中心として真理探究を本質とする大学におけるそれを保障するために伝統的に認められている大学の自治の保障,強化を図る趣旨に基づくものである。
  けだし,大学教員の高度の学問的能力や知的誠実性を正しく評価し,その適格性をよく判断できるのは同僚たる教員自身であって設置者(任命権者,理事会等の外的管理機関)ではなく,また,大学教員の研究教育の自由の保障は,雇用者たる大学設置者の一方的判断によってはその地位を奪われないという身分保障によってはじめて確立しうるものであるからである(教育基本法9条2項参照)。
  このような趣旨からすれば,教員の採用,罷免等の人事については,学校教育法93条1項の『重要な事項』に該当し,教授会(または教授会の自主的な意思にもとづく構成された機関)の審議が必要な手続要件であり,またこの教授会の審議権は単な る諮問機関としてのそれではなく,より実質的なものであって,これを奪うことは許されないというべきである。

ユネスコの「高等教育職員の地位に関する勧告」(1997年11月)
・大学は、伝統的な知識と文化について自由に自分の意見をもち、広め、表現し、かつ既成の教義に拘束されることなく新しい知識を追求する、そのような学者の共同体である。新しい知識の追求とその応用は、そうした高等教育機関に授任された権限の核心部分である(地位勧告 第4項)
・(大学の)自治は、学問の自由が機関という形態をとったものであり・高等教育の教育職員と教育機関に委ねられた機能を適切に遂行することを保障するための必須条件である」(地位勧告 第18項)

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